医療法人社団 王司こどもクリニック 下関市,王司上町,山口県 小児科,アレルギー科

院長コラム

2019.08

令和最初の夏は……

6月の末からの、福岡県の筑豊地方以南の集中豪雨があり、『いつ梅雨明け宣言するのだろうか?ひょっとしたら今年はもう宣言は無いのでは?』と思えるほどでしたが、7月22日に梅雨明けでした。

予感はありました。クマゼミが鳴きだしたので、『もうボチボチかな』と思っていたのです。恐るべし昆虫の本能です。しばらくはスッキリしなかったのですが、その後は猛暑の連続でした。そのおかげで、去年より多くのクマゼミがクリニックの木々に留まってくれました。ワシワシワシと鳴くオスは2匹だけでしたが、最高9匹もいたのには感激でした。

台風8号が宮崎に上陸し、佐賀から北上して抜けていきました。続けざまに9号と10号が発生し、9号は大陸に抜け、このお盆に上陸した10号は下関の東側を通過したため、それほど影響を受けることはありませんでした。が、地域によっては被害を受けた方もいらしたかと思います。心よりお見舞い申し上げます。

この猛暑では熱中症対策が大切です。今年はその対策で大きな変化がありました。深部体温を下げることが大切なのですが、今までは大きな血管が走っている場所、首の周りや股の付け根を冷やしましょうと言っていましたが、実は手のひらを冷やすのが最も効率的であることが分かりました。大きな血管を急に冷やすと血管が収縮してしまうからだそうです。

食中毒の報告も増えてきていますね。バーベキューなどの肉を焼くときは、金属製のトングなどを使いましょう。直接肉を触った箸で、野菜などをつかまないようにし、O‐157・01・11、カンピロバクター腸炎から身を守りましょう。

熱帯夜が続きます。寝不足にならないようにして、元気に夏を乗り切りましょう!

2019.05

「平成最後の…」「無事に終わりました改元10連休」

『平成最後の』という言葉を、何度目にし、耳にしたでしょうか?
まずは『平成最後の』維新海峡ウォークからスタートです。4月14日、第34回の海峡ウォークに参加してまいりました。今回は5人のメンバーでの参加で、過去最多人数でした。

桜が数日前の雨と風でかなり散っていました。天気予報は降水確率30%くらいでしたので、何とか持つかなーという状況でした。薄曇りの中、8時47分《東行庵・騎兵隊本陣(吉田小グラウンド)》をスタートしました。《王喜の関(木屋川河川敷)》・《小月西ノ台の関(小月小グラウンド)》・《清末藩の関(清末小グラウンド)》を通過し、《王司・神田の関(王司小グラウンド)》についたのが10時45分で順調でした。

神戸製鋼の桜並木は、葉桜の状態でしたが、木によってはまだ桜の花がしっかり残っていました。そのころ、かなり足に来ていました。歩道橋の階段では手すりを持ちながらようやく渡れました。長府に何とかたどり着き、恒例の肉うどんをいただきました。さぁ出発という12時過ぎ。心配していた雨がぱらつき、傘の出番となりました。《功山寺・城下の関》に12時36分に到着し、山門を出て右折です。今年は山道コースです。だいぶ気温も下がってきました。 雨と風の中を、気合を入れ進みました。ようやく峠を越えて前田まで下りてゆく途中から右折です。急な坂道の連続した『健脚コース』への挑戦です。痛い足を引きずりながらの行進です。国民宿舎前でスタンプをもらった時は、ホッとしました。《みもすそ川の関》に13時50分に到着。大砲の前で記念写真を撮り、《亀山本陣・赤間の関》、《日和山の関》を順調に通過し、ゴールの《シーモール・夜明けの関》に14時57分。全員そろって到着しました。

いやぁー、途中からの雨で寒くて大変でしたが、懇親会も楽しく終了いたしました。
途中、子供たちの「先生!がんばって!」という声援でがんばれました。ありがとう!

 

次は、4月30日『平成最後の』診療は午前中まででした。夜は『平成最後の』夜間急病診療所勤務でした。
5月1日。令和元年の始まりでしたね。テレビで公式行事を拝見いたしました。2日は『令和最初の』午前診療で、夜は『令和最初の』夜間急病診療所勤務でした。3日から6日までは4連休でした。5日はヤフオクドームで野球観戦にいってまいりました。贔屓のチームの完勝でした。あっという間の10連休でしたが、何事も起こらず良かったですね。

令和となって、2週間が過ぎようとしています。痛たましい園児の交通事故のニュースや九州南部の地震のニュースはありますが、平成の時のような大きな事件や、感染症の大流行などなく、幸せな時を過ごしたいと願っています。

 

2019.03

平成最後の節分・立春もあっという間に過ぎ、改元までわずかとなりました。

  日増しに陽が長くなり、18時を過ぎてもまだ明るくなってきました。外気温も15℃以上になり、春が確実にすぐそばまで来ていることを実感いたします。今年の冬は、北日本を除けば、暖冬でしたね。雪が積もることはほとんどありませんでした。とは言え、三寒四温という言葉もありますので、まだ注意は必要です。

  インフルエンザは11月の比較的早い時期から、流行に入りました。全国的には大流行の報道がなされていましたが、ここ下関では例年通りではなかったでしょうか。ただ、昨年はB型も結構流行したのですが、今年はA型が主流でした。2回罹患する子も、ままいました。しかし、2月の中旬から急激に減少してきました。
  治療薬に関しては、新たに加わりました商品名『ゾフルーザ』が、当初話題になりました。12歳以上は20㎎を2錠1回内服するだけですから、治療としては非常にシンプルですよね。しかし、料金が高いのがネックかなと思われていました。昨年は様子見でしたが、今年からは本格的な使用がなされているようです。臨床試験で、耐性化が問題になっていましたが、さっそく報告もされています。さらなる検討がされてくると思います。
気温が上昇するにつれて、問題になるのが、スギの花粉症ですね。1月中旬から抗アレルギー剤の予防内服を開始するのが一般的でしたが、ここ最近は舌下免疫療法が確立されました。ただし、舌下に投与を開始するのがスギの花粉が飛ばない時期から開始し、毎日投与し、少なくとも2~3年は続ける必要があります。日常生活に支障をきたすほどの重症な方は、試してみる価値は十分にありそうですね。

  4月に入ると、恒例の『維新海峡ウォーク』があります。今年も頑張って、完歩したいと思います。準備運動もしっかりする予定です。

  ゴールデンウィークは、10連休になりました。医療機関はそんなに休めません。当医院は4月27日は土曜日ですので通常通り16時まで営業します。4月30日の火曜日・5月2日の木曜日は午前中までの営業といたします。

2018.12

 前回の通信は8月でした。早いもので、平成30年も残りわずかとなりました。

今年の漢字は『災』でした。度重なる台風の接近・上陸による暴風雨による被害、7月の西日本豪雨、9月の北海道胆振(いぶり)東部地震などです。また、今年の夏は記録的な猛暑となり、各地で最高気温の更新が報告されました。

さて、病気の方へ話題を移します。

12月に入って、少しづつインフルエンザがでてきていています。昨シーズンはB型からの流行でした。今シーズンはA型からの流行のようです。10月からワクチン接種が始まったのですが、昨年同様にワクチン供給が追い付かずに接種遅れが心配されたのですが、何とか間に合っている状況です。寒さが続いていないので大流行にはなっていないのが幸いです。

  10月ごろからポリオに似た、子供の手足に急にマヒが出る『急性弛緩性まひ』の報告がありました。3年前にエンテロウイルスD68の流行時にまひの報告があり、今回も同様の原因が考えられています。また、風疹の流行が首都圏を中心に広がっています。30代から50代の男性が中心です。この年代はワクチンを受けておらず、抗体が低いためと考えられています。問題は、妊婦さんに感染して先天性風疹症候群の赤ちゃんが増えることです。

5年前の大流行では45名の赤ちゃんに障害が出て、そのうち11名が亡くなっています。このまま風疹が制圧されなければ、2年後に迫っている東京オリンピック・パラリンピックの開催に影響があり、政府はこの11日に免疫のない39歳から56歳の男性を3年間無料の接種の対象とするとしましたが、抗体の検査をしてその後接種としているため、約1600万人以上の対象者に実施できるかなぁ?と心配ではありますが、はたしてどうなるのでしょうか…。

来年、4月までの『平成』です。

平穏無事に新年を迎え、新元号に向かって幸せな日々でありますように祈っています。

どうぞ、よいお年を?

 

2018.8.3

西日本を襲った平成30年7月豪雨で甚大なる被害が出ました。心よりお見舞い申し上げます。

一部断水などで復興が進まず、心を痛めています。線状降水帯なるものがもう少し下関地域に残っていたら・・・、と思うとゾッとします。しかし実際に、短時間ではありましたが、1時間当たり50mm以上の雨が降り、がけ崩れなどが起きているわけです。
高速道路や国道、閃門トンネルが一時閉鎖され、交通も大渋滞をおこしていました。天候上想定外の事が多くなっているのがとても心配です。

7月9日には山口県は梅雨明けしました。いつもなら太陽がジリジリと照り始めますと、クマゼミがワシワシと鳴き始めるのですが、大雨の為に、なんと12日を過ぎて初めてクマゼミの鳴き声を聞くことができました。しかも、クリニックの木にも3匹(うち1匹はオスの様でしたが)とまっているのを発見しました。良かった!これで夏本番と言えます。
関東は6月29日頃に梅雨明けしました。7月15日・16日と東京で勉強会があったのですが、会場近くの新宿中央公園ではミンミンゼミが嬉しそうに鳴いておりました。

さぁ夏休みです。海や山に出かけバーベキューをする人が増えますね。また、外食の機会も増えます。そこで食中毒の注意です。
牛肉から腸管出血性大腸菌感染、豚肉・鶏肉からのカンピロバクター腸炎、魚介類からの腸炎ビブリオ菌感染など生ものを触った箸や手を介しての感染には注意です。しっかり火を通すことだけでなく、手洗いなども大事ですね。

気温の上昇も半端ないです。35℃以上の猛暑日が続いています。熱中症予防が大切です。不幸なことに小学校1年生の男の子が校外学習の時間に熱中症にて死亡しています。
WBGT(暑さ指数を計測する)は簡易なものなら4千円以下でも購入できますので、どんどん使用し、危ない数値ならば中止・中断を決断したり、しっかりと水分・ミネラルを補給して、部屋ではエアコンで空調管理をするなど、予防が大切ではと思います。

楽しい夏休みを過ごし、新学期には元気な姿で登校(園)できるように祈っています。

熱中症予防・対策(乳幼児編)

1.水分を多めにとろう
新陳代謝が活発なため、汗や尿として体から出ていく水分が多く、脱水を起こしやすい体です。
水分を多く含む食事や、定期的な水分補給を心がけましょう。

2.熱や日ざしから守ろう
自律神経の働きが未熟で、放熱や発汗による体温調節がうまくできません。熱のこもらない素材や薄い色の衣服を選んだり、日光を遮る帽子などを身につけたりさせましょう。

3.地面の熱に気をつけよう
背が低かったり、ベビーカーの利用などで大人よりも地面に近い環境で過ごすことが多く、地表からの熱を受けやすくなります。子どもの高さの気温や温度を気にかけましょう。

4.暑い環境に置き去りにしないようにしよう
乳幼児は自分の力で移動することができないので、「寝ているから」「ちょっとの時間だから」と放置することは危険です。特に、車内に置き去りにすることは絶対にやめましょう。

5.室内あそびも油断しないようにしよう
日差しがない屋内では大丈夫だろうと油断しがちです。屋外と同じ対策を意識しましょう。

6.周りの大人が気にかけよう
暑さや体の不調を、まだ自分の言葉で十分に訴えることができないため、服装や摂取するものによる暑さ調節がうまくできません。汗や体温、顔色や泣き方など、赤ちゃん・子どもの様子を、まわりの大人が気にかけましょう。

7.外で夢中になり過ぎない
遊びに夢中になると、のどの渇きや気分の悪さなどの熱中症のサインに気づくのが遅くなります。
子どもや特に乳幼児が遊びに夢中な場合には、大人が見守り休憩や水分補給をすすめましょう。

暑い環境に置かない!
こまめな給水をこころがける!
十分注意して夏遊びを楽しみましょう!

2018.5.8

維新百五十年目にあたる、平成30年になりました。来年は新元号に変わりますね。
とても興味があるのですが、早く決まってほしいのも本音です。

寒かったり、暑かったりの異常気象のためか、例年よりも早く桜の時期も終わり、つつじから新緑へと移り変わっています。

今シーズンのインフルエンザは、当初ワクチンの不足もあり、複雑な流行パターンでした。A型からB型になり、しばらく両タイプが混在し、最後はA型になって、5月の今でも時折見られ、例年の患者が沖縄観光旅行に来て、二次感染で90名以上、また本州でも愛知県の学生さんからの二次感染で10数名に広がっています。ワクチン接種の大切さを改めて知るところとなりました。

海峡ウォーク 完歩!

ひとつ目は4月8日に行われた、第33回維新海峡ウォークです。当日、開会式は小雨がぱらつく中で行われましたが、8時50分に吉田小学校グラウンドを出発することには雨も上がり上々の天気でした。
王喜の関・小月の関・清末の関と、順調に歩いていたのですが、王司の関のあたりから足の裏にマメができて痛み出しました。

我慢しながら長府で昼食をとり、巧山寺の長府城下・日の山中腹を目指す【健脚コース】(昨年より増設)に入り、急こう配の坂道を何かと登り切り、みもすそ川の関・赤間の関・亀山本陣・日東山の関からゴールのシーモール夜明けの陣へ15時12分にたどり着きました。
無理がたたったのか、足裏は血マメとなり、2週間以上かかりやっと治癒しました。いつもにも増して大変でした。
海峡ウォーク

荻往還マラニック 完歩!

ふたつ目は、5月4日に行わせた『第30回荻往還マラニック大会』です。歩け歩けの部35kmのウォーキングに参加しました。

残念ながら今回が最後の大会との事で、例年なら山口市の香山公園から荻市の陶芸の村公園までなのですが、逆にたどるコースになりました。全く初めてのコースですので、10回以上完歩している周南市の小児科のK先生のグループに加えていただきました。

4日目早朝、瑠璃光寺近くの香山公園からバスに乗り、荻の陶芸の村公園まで行き、まだ薄暗い5時5分にスタートしました。松陰大橋(阿武川)、椿大橋(橋本川)を渡り、舗装された道から山道へと入り、明木へ向かいました。農協前のテントで、並べてあった饅頭と熱いお茶をいただきました。

そこからは、いよいよ急な階段の山道になり、一升谷を一合ずつ上りました。登山用のステッキを持っていましたので、すいぶんと助かりました。

五文蔵峠から金ノ切峠へ登り詰め、少し下って千持峠へ。9時過ぎに佐々並へたどり着きました。
そこで弁当を食べ、お茶で水分補給し、いよいよ最後の難関を目指し出発しました。既に足の裏にはまたもやマメができていましたが、少し痛む程度でした。その後、舗装されていたダラダラと続く長い坂道を一時間以上かけて登って行ったのですが、次第にマメにより足の痛みが強くなってきました。途中、2か所の休憩所で、甘い物やお茶で水分補給し国境の碑を目指しました。坂堂峠登り口では、嫌になるくらいの急な階段を2つ登り、最高所545mの坂堂峠にたどり着きました。

その後は下りですが、石畳の為に足の裏への直接刺激で痛みが激しくなり、大変な思いをしながら、六軒茶屋跡、天花畑を過ぎ、再び舗装された道を進み、一ノ瀬ダムを右手に見ながら香山公園に到着しました。14時頃でした。朝4時の出発でしたから、10時間かけての往復でした。

山の中の大自然を感じながらでしたが、荻から瑠璃光寺までの道のりは足にこたえました。
恐るべし荻往復でした。

 


2017.3.9

 平成29年は、静かに明けました。春一番が吹いて寒かったり、暖かだったりのいわゆる 『三寒四温』の状態ですが、着実に春に向かっています。

嘔吐・下痢が続くときは

 昨年からの感染症に関して言いますと、まずは『ノロウイルス』の流行です。平成16年以 来【GⅡ.4】という型が主流だったのですが、平成27年2月以降は【GⅡ.17】に変わりまし た。しかし大流行はせずに、さらに予想外に変異した【GⅡ.2】が流行したのでした。ウイ ルス検査でも引っかかりにくく、診断は付けづらかったのですが、嘔吐・下痢症は多かった ように思います。

 また、インフルエンザに関しては、10月から検出されました。最初は【A型】だけでな く【B型】も検出されていましたが、例年通りやはり【A型】が主流になりました。12月に 増加するかと思いましたが、例年通り1月の4週から2月の第1週目がピークを迎えたよう です。3月に入り、減少してきました。

 3月のこの時期は、スギ花粉の飛散が多くなり、鼻がムズムズし、目が痒くなります。い わゆる【スギ花粉症】ですね。花粉の飛散する前から、抗アレルギー剤を内服し、症状の発 現を軽くする方法が一般的です。症状が出てきたら、点鼻や点眼薬を使う対処療法も併用し ます。近年、スギ花粉に対して、【舌下免疫療法】という治療法が開始されました。スギ花 粉のエキスを一日一回舌の下側に一滴たらし、2分後に飲み込むという方法です。12歳以 上が対象年齢ですが、毎日飲み、2年以上継続する必要がありますが、『効果が出ている』 という報告もあります。

 
季節の変わり目での喘息や頭痛

 季節の変わり目ですので、喘息や頭痛、体のだるさなどの自律神経系の疾患にも注意して ください。

 最後に幼稚園・保育園に通園している年長さんは2回目のMRワクチン接種が、この3月31 日までですので、母子手帳の予防接種欄を開いて接種済みかどうかを確認してくださいね。

 

2016.10.20

B型肝炎ウイルス

 直撃の恐れがありました台風18号は対馬海峡から釜山の南をかすめて、島根・鳥取県沖の日本海沖を通りまして、その後熱帯低気圧になりました。下関市では、大きな被害が出なくてよかったです。台風の通過した後は、秋らしく朝晩が冷え込みだしました。前回の通信で、喘息発作に注意しましょうと書きましたが、その通りで咳込みの患者さんが増えています。吸入や内服で発作をコントロールする必要があります。

 この10月1日から『B型肝炎ワクチン』の定期接種が開始されました。対象は平成18年4月1日以降に生まれたお子さんで、1歳になるまでに受けられます。

 
A型インフルエンザウイルス

『インフルエンザワクチン』も開始になりました。ワクチンは流行するウイルス株を予測して製造されます。ここ数年A型(H1N12009)とA型港型とB型(山形系統)とB型(ビクトリア系統)の4種類が流行してみられています。そこで、昨年からA型2種類、B型2種類の4種類が含まれるワクチンになっています。重症にならないようにしっかりと必要な量・回数を打ちましょう。

 インフルエンザワクチン接種において、おもしろいデータが報告されました。イギリスからですが、65歳以上の高齢者で、午前9時から11時までに接種するグループと午後3時から5時までに接種するグループで抗体の増え方を比較したデータが報告されました。

 朝のグループの方がA型H1N1とB型に対する抗体が大きく増え、A香港に対する抗体は有意差(明らかな差)がなかったそうです。この結果から考えると、インフルエンザの予防接種は午前中に接種したほうがいいようです。ただ、子供に対しては現時点ではわからないそうです。

 ちなみに、日本ではまだ許可されていませんが、鼻からスプレーするワクチンは今年から推奨していません。思ったほど効果がなかったようです。

インフルエンザワクチンはいつごろから効いて、効果はどのくらい続くの?
 

 インフルエンザはインフルエンザウイルスによって起こる感染症で、例年11月下旬から12月上旬頃に始まり、1~3月頃に患者数が増加、4~5月にかけて減少していくというパターンを示します。

 インフルエンザワクチンを接種してすぐに効力を発揮するわけでなく、抗体ができるまで2週間程度掛かります。
また、インフルエンザ抗体が出来ても3ヶ月目以降から徐々に減りはじめていきます。

 予防接種の効果が接種後2週間から4ヶ月、最長5ヶ月といったところです。この抗体が出来るまでの期間とインフルエンザ抗体が身体にある期間から予防接種を受ける期間を考えましょう。

      流行前に免疫力を高めるなら、   10月中旬~11月上旬に接種しましょう。
      ピーク時に免疫力を高めるなら、   10月下旬~11月下旬に接種しましょう。


2016.9.21

 今年の梅雨入りは6月4日で、梅雨明けは7月18日でした。季節の移り変わりを知る方法として、昆虫好きの私は(一番好きなのは『ギンヤンマ』!!)、梅雨明けを朝から大音響で鳴く『クマゼミ』で推測していました。
 今年の7月17日・18日は、勉強会のために博多に行きました。会が始まるまで1時間以上ありましたので、大濠公園に立ち寄ったところ、恐ろしく元気な『クマゼミ』がワシワシワシと鳴く声を聴いて、「梅雨が明けたかな?」と思いました。実際は18日でしたが、ほぼ正解でした。
 また、秋の到来は、やはりセミですとクマゼミから『ツクツクホウシ』にかわる時だと思っています。クリニックにある木は植え替えられてから4年目になりだいぶ大きくなってきました。8月になり、枝をよく見るとクマゼミがとまっていました。多いときは5匹もいました。初めてでしたので、とても嬉しかったです。
 ところが、8月22日からはクマゼミが姿を消し、ツクツクホウシが1匹ですがとまっていました。ほんのわずかですが夕方の風に涼しさを感じ始め、秋の気配が感ぜられました。

 

 台風に関しては、西日本ではなく、関東・東北・北海道に甚大な影響を及ぼすコースを通り、例年と異なるパターンでした。しかし、9月に入り九州に上陸し、今後は西日本での注意が必要ですね。

 さて、リオオリンピックが開催され、JAPANはメダルラッシュで感動をずいぶんともらいました。オリンピックと関連のある感染症があります。それはマイコプラズマです。不思議とオリンピックの年に流行するのです。長引く咳症状の場合、検査をすればマイコプラズマ感染症である事が多いです。これからも十分に注意してください。

 朝晩の寒暖の差、季節の変わり目での気圧配置の変化は、喘息発作に注意が必要です。予防薬のロイコトリエン拮抗薬を内服し、発作を抑える吸入薬を使用して重症化を防ぐ必要があります。また、ダニやハウスダストを減らすようにお部屋の掃除や布団の管理も必要になります。しっかい予防して元気に運動・勉学に励みましょう。

 

 最後に、10月よりB型肝炎の予防接種が定期接種として新たに始まります。対象者は、生後1歳になるまでに3回接種します。平成28年4月以降に生まれた子どもであれば、適切な接種期間に実施することが可能であります。
インフルエンザのワクチン接種も始まります。
忘れずに接種しましょう!

 

2016.7.11

 3月末からの『桜』、4月中旬からの『ツツジ』が咲き終わり、新緑のまぶしい5月も、すでに半分が過ぎてしまいました。
沖縄・奄美は梅雨入りしたとのことです。下関市でも、もうすぐ梅雨入りしそうです。

4月14日21時26分、4月16日1時25分の2度にわたり震度7を記録した熊本地震がありました。
まだ余震が続いています。小児科の仲間も被災しました。停電や断水があり、一時的に大変だったようですが、現在は元に戻っているとのことで良かったと思います。亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災された方々が早く日々の生活に戻れることを心よりお祈りいたします。

さて、この時期は保育園・幼稚園・小学校で健康診断が行われています。水曜日・木曜日のお昼の時間を利用して各園・学校に出かけています。
ようやく半分が終了したところです。
今年から小学校の健診に『運動器健診』が加わりました。この目的は、『脊柱測弯症(※)』のスクリーニングに加え、運動不足による機能不全・運動過多によるスポーツ障害の早期発見にあります。問診票に印があれば、実際に異常があるのか、それともできないだけなのかを確かめる必要がありますので、これまで以上に時間がかかっています。3時間ほどの時間を要したこともありました。
見逃しがないように慎重に診察していきたいと思います。

※脊柱測弯症・・・正面あるいは背面から見たとき、背骨が左右に曲がっている病気

感染症では海外、特に中南米でジカ熱が話題になっています。原因であるジカウイルスは、デングウイルスの近縁種の『蚊』を宿主とするフラビウイルス科のウイルスです。
『蚊』は同時に『媒介者(※)』でもあり、ネッタイシマシカ、ヤブカに刺されないようにする必要があります。
妊婦さんがこの病気にかかることが『先天性小頭症』の原因であると結論づけられました。性感染症に関する報告もされ、妊婦さんは特に注意が必要です。

食中毒の時期でもあります。カンピロバクター菌・病原性大腸菌・サルモネラ菌が代表的です。
肉はしっかりと加熱する必要があります。生肉を触った箸でそのままほかの食材をつかみ、口に入れることも危険です。牛レバーだけでなく豚レバーの生食は禁止されています。まな板の消毒も大切です。サルモネラ菌は卵の殻にも付着していますので、卵かけごはんの時は殻を触ったら手洗いをしっかりとしましょう!!

◆脱水状態に最適な経口補水液の作り方
≪材料≫
・水・・・1リットル
・塩・・・小さじ1/2(3g)
・砂糖・・・大さじ4と1/2(40g)


これらをしっかり溶けるまで混ぜれば完成です。

健康な人にとってはあまりおいしくない飲み物だと思いますが、脱水状態の人が飲むとすごくおいしく感じるそうです。
飲みにくい人は、レモン1/2個分を絞った汁を加えるのがおススメです。

経口補水液は一気に飲まずに、コップ1杯分を30分かけて飲むのが目安です。作ったその日の内に飲んでください。『OSI1』でも同様です。


2015.9.7

 平成27年も9月になりました。さぁ二学期です。
 今年はほぼ例年通りに6月2日に梅雨入りし、やや遅れましたが7月29日に梅雨明けしました。
その後、猛暑日が続きましたね。ところが、8月25日に台風15号が、熊本に上陸後福岡県を縦断し、 響灘に抜け、暴風雨で被害を出しました。下関市でも最大瞬間風速が29kmを記録しました。 台風一過というほどではなかったのですが、翌26日は、秋を思わせる涼しさがありました。 その後はまた、蒸し暑さがあります。 ただ、クマゼミの鳴き声がぱたっと無くなりました。季節の変わっていくのが分かります。
 さて、今回は知り合いの東京府中市のS小児科のS先生からの報告・提言をお知らせしたいと思います。
 「9月10日の世界自殺予防デーに因んで、毎年9月10日からの一週間を自殺予防週間と設定し、 国や地方自治体が連携して、幅広い国民の参加による啓発活動を強力に推進」と総理府は言っています。 実は、過去42年間に子供が自殺した日で最も多かったのが、9月1日で131人、以下4月11日の99人、 4月8日の95人、9月2日94人、8月31日の92人と、新学期開始前後、特に夏休み明け前後が多いことが判明したそうです。
 学校でのいじめがあろうがなかろうが、学業などが伸び悩んでいても、悩みを聞いて、指示や指導ではなく理解してくれる人がいるだけで救いになります。なにも否定せず「そうだね、つらいことだね」といって耳を傾ける。1日10分だけでよいので、大人(親)がそのような時間を作ることが子供の自殺予防には有効です。
 以上、重い内容ですが、皆さんも一緒に考えてみてください。

 10月からインフルエンザの予防接種が始まります。今年からインフルエンザワクチンが4価型に変わります。 これまではA型2株とB/山形系統もしくは、B/ビクトリア系統いずれかのB型を組み合わせた3価型ワクチンを使用していましたが、近年のB型インフルエンザは上記の2種類の系統が同時に流行していることによりA型2株とB型2株の4価 ワクチンとなりました。ワクチン製造に費用がかかるために、今までよりも接種料金が高くなりそうで、 ワクチン接種者の減少が心配されます。しかし、重症化を防ぐためにも接種しましょう。


2015.6.15

 四月一二日、桜の花が咲き誇った下関海峡ウォークを例年通り友人と完歩しました。
桜の散ったあと、道路にはツツジが咲きました。新緑まぶしい山々の中を歩く予定だった五月四日の萩往還は、残念ながら ドタキャンしてしまいました。来年こそは歩きたいです。
五月晴れが続くことを期待していましたが、六月になり、あっという間に梅雨に入ってしまいました。
イネ科の雑草の花粉にアレルギーのある身にとっては、雨が待ち遠しいのでホッとしています。保育所・幼稚園・小学校の検診もようやく終え、 少しはゆっくりできるかなというこの頃です。

自然界を見てみますと。昨年の御嶽山の爆発から、蔵王・桜島・箱根大涌谷の噴火、五月二十九日の口永良部新岳の大噴火、五月三十日の小笠原周辺 深海のマグニチュード八.一の地震と、大暴れです。何が起きても不思議ではない状況です。
感染症では、昨年の秋から伝染性紅斑(リンゴ病)が多いとのことでしたが、下関でも頬の赤い子を見ることが増えてきました。原因はヒトパルボウイルス B19です。妊娠初期の妊婦さんがかかると胎児死亡の原因になることがあります。飛沫・接触感染ですので手洗い、マスクなどの予防対策が必要です。
またこの時期からは、食中毒にも気を付けないといけません。病原性大腸菌、カンピロバクター菌・サルモネラ菌などが代表的なものです。
特に、肉などはしっかり加熱の必要があります。牛レバーの生食禁止に加え、豚レバーの生食も禁止になっています。まな板の消毒に十分気をつけましょう。

ところで、最近のトピックスとして、エボラ出血熱に引き続き、中東呼吸気症候群(MERS)の名前があげられます。
二〇一二年にイギリスから中東への渡航歴のある重症肺炎患者から新種のコロナウイルス(後でMERSコロナウイルスと命名)が検出されたと報告されました。
まだ東アジア地区で問題にならないと思っていましたが、この五月末からお隣の韓国で、相次いで患者さんの報告と死亡者が出たとのニュースが伝わっています。
二次感染だけでなく、医療関係者への三次感染もあり、パニックにならないことを案じています。
この下関は韓国との往来も多いので水際対策をしっかりとる必要があります。くれぐれも注意したいです。


2015.2.09

平成二十七年になり、二ケ月が過ぎました。 昨年十二月の半ばから流行し始めたインフルエンザ(A香港型)は一月の四週目をピークに減少し始め、二月の四週目には終息の状態となりました。
当初はワクチン効果で流行は小さいのでは?ということでしたが、成人を中心に患者数が増加しました。
また、ワクチンが合わなかったということが判明しました。
しかし、熱性けいれんや脳炎・脳症など、重症化する子どもはあまり多くなく、症状自体は軽いという印象でした。
例年なら、これからB型が流行し始めるのですが、今年はどうでしょうか。

インフルエンザから、アデノウイルス・RSウイルス・ヒトメタニューモウイルス(hmpv)など、種々のウイルスが「検査キット」のおかげで見つかっています。
流行の気配があり、安心はできません。

気温上昇に伴い、スギの花粉の飛散が激しくなり、花粉症の患者さんが増えそうですね。昨年に比べて、飛散量が多いとの予想でしたので、 マスク、手洗い、花粉を家に持ち込まないようにする工夫が必要です。
スギ花粉症に、舌下免疫治療の導入が許可されました。
私も講習を受けに東京に行き、許可をもらっています。
自身を含め、まだ導入はしていませんが、評判が良ければ、次回は導入してみます。

四月に新一年生になる年長さんは、二回目の麻疹・風疹ワクチン(MRワクチン)の無料接種の期間が三月三十一日までですので、 未接種の子どもさんは急いでください。
さらに、3歳以上・5歳未満で水ぼうそうにかかっていない子どもさんへの水ぼうそうワクチンの無料接種も三月三十一日までですので、早めの接種をおすすめします。

なお、日本医師会・日本小児科医会の主催で、三月一日から七日まで「子ども予防接種週間」として実施しています。
この時期に、必要なワクチン接種やワクチンに関する相談をされるとよいと思います。

最後に、四月十二日は、第三十回下関維新海峡ウォークがあります。
七回目の完歩を目指して日々の練習を始めます。
この一年を乗り切るため、運動不足を解消し、メタボ対策としたいです(笑)


2014.12.09

 平成26年もあと1一ヶ月を残すだけとなりました。12月に入り、さすがに朝晩寒くなってきました。

この時期は、何と言ってもインフルエンザ流行の走りとなります。今年は流行が早くなるようです。ワクチンを早めに接種されていることと思いますが、まだの場合は接種を急ぎましょう。

外出時のマスク着用、帰宅時の手洗い・うがいの励行は予防に大切です。

また、室内の乾燥は良くないので、湿度は50~60%が望ましいとされています。しかし、喘息などをお持ちの方は、この湿度だと結露が心配です。カビなどの繁殖の好条件になりますので、窓などの結露を防止することは必要です。加湿器を上手に使って50%前後くらいが良いのではと思います。

 嘔吐・下痢症(感染性胃腸炎・ロタウイルス腸炎やノロウイルス性腸炎やカンピロバクター腸炎など)、RSウイルス感染症などにも注意が必要です。
世界的にはエボラ出血熱の感染拡大が心配です。これからも注意深く見守り・対策が必要です。

 この1年間を振り返ってみますと、県外・県内の勉強会への参加は、ほぼ予定通りでした。

運動面では4月13日の海峡ウォークは無事6回目の完歩でした。しかし、11月2日の海峡マラソンは9月の末に肉離れをしてしまい、またしても参加できませんでした。チャンスがあれば次回もチャレンジしたいと考えています。

無理をせず出来ることを少しずつ、毎日続けていくことを目指します。

来年も良い年でありますように。


2014.10.10

平成26年10月1日から水痘ワクチンが定期接種化されました。嬉しいことです。
水痘ワクチンは日本で開発された優れもののワクチンですが、単価が高いのがネックと思われ、下関市での接種率はおそらく30%に届いていなかったのでしょうか。
そのために、ここ数年、保育園や幼稚園を中心に流行が続いています。
今回の定期接種化により、流行が防げることとなるでしょう。

1歳児と2歳児(1歳の誕生日の前日から3歳の誕生日の前日まで)は、3ヵ月以上の間隔をおいて2回接種で行います。

平成27年3月31日までは、経過措置として、過去にワクチン接種をしていなくて、水ぼうそうにかかっていない、3歳児と4歳児(3歳の誕生日から5歳の誕生日の前日まで)も1回定期接種ができます。
水痘ワクチンの1回の接種により重症の水痘をほぼ100%予防でき、2回の接種により軽症の水痘も含めてその発症を予防できると考えられています。

今年の10月中に5歳の誕生日が来る人は、接種できる期間が短いので注意です。

対象接種年齢
生後12月から36月に至るまでの間にある者
(1歳の誕生日の前日から3歳の誕生日の前日まで)
※既に水痘に罹ったことがある方は、接種の必要はありません。
接種回数
3月以上の間隔をおいて2回接種

(標準的な接種年齢)
・初回接種:生後12月から15月に至るまでの間
・追加接種:初回接種終了後、6月から12月に至るまでの間隔をおく

インフルエンザワクチンの接種時期と重なりますが、同時接種することが可能です。
母子手帳で他のワクチンの接種もれが無いかを確認して、元気であれば積極的な接種をお勧めします。

予防接種を希望される方は、受付にお尋ねください。(インフルエンザの予防接種も受け付けております。)


2014.08.05

 梅雨明けしたと思ったら、暑い日が続きますね。冷夏の予想が今のところ、完全に外れています。

暑い日が続くため、連日のように熱中症で救急車による病院への搬送と、死亡者の報告がされています。暑い環境での活動には、こまめな水分補給と休息が必要です。特に子供の汗腺は大人の数と変わりがないため、大量の汗をかきます。帽子や濡れタオル等で、熱中症対策をしましょう。

また、この時期には、あせもとびひなどの皮膚の病気に要注意です。エアコンの温度調節を上手にし、暑さをしのぎ、汗をかかないようにこころがけましょう。汗をかいたらこまめにふき取るか、シャワーで洗い流しましょう。外遊びでの虫刺されも、軟膏を早めに塗って掻き壊しを防ぎ、化膿しないように努め、とびひの原因にならないようにしましょう。万が一掻きむしってひどくなったら、早めに受診しましょう。

夏風邪の代表に、ヘルパンギーナ・手足口病・プール熱(アデノウイルス感染)があります。全国的にはヘルパンギーナの大流行が報じられていますが、下関では例年通りの流行でしょうか。しかし、これから増えてくる可能性もあり、要注意ですね。

暑いからと言って、冷たいものの食べ過ぎ、飲み過ぎにも注意しましょう。ナマ物は避け、十分加熱をした食べ物を摂る様にしましょう。

海水浴やプール遊びの時の日焼けにも注意が必要です。紫外線の多い時間帯での活動はなるべく避けたいものです。日焼け対策はしっかりしましょう。皮膚に合った日焼け止めを選び、しっかり塗ってから遊びましょう。

早寝・早起き・朝ごはんと規則正しい生活を送り、体力低下を避けて、思い出いっぱいの楽しい夏にしましょう。


2014.05.21

新緑の季節になりました。とても気持ちがいいですね。でも私はイネ科(雑草)にアレルギーがありますので、鼻汁・くしゃみが出ます。スギ・ヒノキの時期に引き続き、梅雨が明けるまでマスクが必要です。

さて、今回は細菌性腸炎(カンピロバクター、病原性大腸菌など)についてです。

この季節からアウトドアでの楽しみにBBQがあります。火をおこし、持ち寄った肉、魚、野菜など鉄板や網の上でじっくり焼いて食べる、最高においしいですよね。焼けるのが待ちきれないという子供たちの状況が目に浮かびます。

楽しく過ごした数日後に腹痛から下痢が始まってしまい、病院に行き医師から「何かナマ物や肉などを食べませんでしたか?」と聞かれても、火は十分に通して食べたから思いつかない…。

実は『肉』が案外悪さをすることがあります。

ナマ焼けを食べることは少ないのでしょうが、ナマ肉をつまんだ箸(はし)を十分に加熱せずにご飯を食べると肉についていた菌(カンピロバクター、病原性大腸菌)が口から入ってくるのです。

これは焼き肉屋さんに行って食べる時も同じです。肉をつまんだ箸で野菜をつまんで食べないようにする必要があります。つまり、肉を焼く時の箸と食べる時の箸は別々にしなければなりません。おすすめはトングなどの金属でできた物で、肉触った後で十分に加熱すれば安全です。

病原性大腸菌O-157を代表として、ベロ毒素を産生するタイプは溶血性尿毒症症候群を併発し、命にかかわる恐ろしい菌です。カンピロバクターは鶏肉・豚肉にいる菌です。

注意すれば防げることですので、気をつけましょう。 


2014.02.06

平成26年は静かに、暖かく明けました。元旦から3日昼までは、大変よい天気に恵まれました。
初詣に行かれた方も多かったことと思います。その後は例年通り寒かったり暖かだったりしています。

この時期注意しなければいけないのは、なんといっても、インフルエンザの流行です。気温が下がり、空気の乾燥が進んできますと、一気に増加しますので、マスクを着用し、手洗い・うがい等の予防対策が大事になります。

今季のインフルエンザですが、AH1Pdm09(2009新型)AH3(A香港型)、B型の3タイプが検出されています。下関では大体A型:B型=4:1の割合ですが、B型中心の園や学校もあります。全国的にはA型のうちAH1Pdm09が増加しているようです。

このAH1Pdm09については、気になる情報があります。北海道札幌市の患者6人から平成25年12月27日までに検出されたウイルスが、タミフル(内服)やラピアクタ(注射)といったインフルエンザのお薬に耐性(薬の効果がない)を持っていることが明らかになりました。
また、さらに増加して20例の報告になっています(1月30日現在)。4年前に流行したタイプですので、4歳以下の保育園に通う子は抗体を持っていないため、流行が心配です。リレンザやイナビルといったお薬にはインフルエンザ耐性はありません。しかしこれは吸入するお薬のため、小さい子には使用できません。今後の動向に注目したいと思います。

ところで、最近テレビのコマーシャルで『発熱したら早めに医療機関を受診してインフルエンザの迅速検査をし、陽性なら治療しましょう。』と、いっています。しかし、身近にインフルエンザにかかった人がいれば発熱して2~3時間でも検査で陽性になる可能性は高いのですが、そうでなければやはり半日くらいたたないと陽性にならない事があります。(インフルエンザにかかっているのに反応が出ない。)発熱があっても半日くらいは待たれてから医療機関を受診するようにしましょう。


2014.01.29

いよいよ寒くなりました。今年は秋が短く、いきなり冬が来たという感じです。

インフルエンザの報告がちらほらと聞こえてきています。この時期、注意しなければいけない病気に、ウィルス性感染性胃腸炎、いわゆる『嘔吐・下痢症』があります。十一月に入って少しずつ嘔吐の子が増えてきました。十二月になりさらに増えてきそうです。原因としての代表的なウィルスに『ロタウィルス』、『ノロウィルス』があります。

 『ロタウィルス感染症』はすべて経口感染で、1~3日の潜伏期間で嘔吐・白色下痢・発熱が出現します。脳炎・脳症も起こします。感染予防には手洗いと便・吐物の消毒です。迅速検査で糞便中の抗原を検出できます。
経口ワクチンがありますが乳児期のみです。有料ワクチンになりますが、生後6週になったら、ぜひ受けて下さい。

『ノロウィルス感染症』はほとんどが経口感染です。一部飛沫感染で発症します。潜伏期間は1~2日で嘔吐・下痢・腹痛・発熱などの症状が出ます。汚染されたカキなどの二枚貝を、生、あるいは十分に加熱処理をしないで食べて感染します。85℃以上で1分以上の過熱をすることで感染力は無くなります。手洗いと消毒が大事ですが、アルコール消毒は無効です。次亜塩素酸ナトリウムや加熱で消毒します。迅速検査で糞便中の抗原を検出できますが、3歳未満と65歳以上しか保険適応がありません。治療は脱水症状の対処療法です。OS-1などの経口補水液を上手に利用しましょう。